見えない世界で挑戦

2019.11.10
未―コラム記者ノート

 「日々挑戦」。丹波篠山市の介護福祉士養成施設「篠山学園」で留学生を励ます会を企画した全盲の酒井智彦さんを取材して思った。「できるだけ外出していろんな人と交流する」が信条の酒井さん。阪神間で開講のパソコンや「笑いヨガ」の各教室に通い、ブラインドマラソンにも取り組む。

 まちを歩くときは前傾姿勢だという。何かにぶつかったときに目、鼻、口に当たる前に額に当たった方が痛くないから。酒井さんの額には傷跡が残る。今年5月、ブラインドマラソンの練習後、疲れた体で歩いていると段差に気づかず、足を骨折した。それでも、来年3月のABCマラソン初出場を目指している。

 「パソコンはモニター不要、キーを打てば音声が出てくる。腕時計は音声で時間を知らせてくれる。おかげで随分世界が広がった」という酒井さん。視覚障がい者の仲間に日々の生活をメールで送り、将来、自叙伝を書く目標を語った。

 励ます会では、酒井さんの挑戦心が伝わったのか、留学生が元気いっぱいに楽しんでいた。

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