雪、凍てなし暖かい年末年始 「暖冬」影響、白菜が青々と畑に 融雪剤散布もゼロ

2020.01.13
ニュース丹波市地域地域

今年は全国的に暖冬。山間部の兵庫県丹波市でも12月に続き、1年のうちで最も冷える1月に入っても暖かい日が続いている。この冬、高い山で数度冠雪したものの、平野部に雪はなく、氷も張らない。例年なら凍ったり融けたりを繰り返し、外葉が傷み縮んだようになる白菜が、今年は青々ときれいなまま。凍てないため、大根も「す」が入らない品質が良いものがとれている。同市柏原の気象庁アメダスによると、最低気温が0度以下だったのが12月に4日、今月は、10日までで1日にとどまっている。暖かく強い風に見舞われた8日未明、同市で最高気温17・2度(午前3時49分)、最大瞬間風速20メートル(同3時46分)と、1月としては最高値を記録した。暖かい冬の影響を調べた。

灯油売れ行き悪く

 昨年12月の日平均気温は6・4度と、平年値より1・2度高かった。1月の平年値は2・9度だが、8日が特別に暑かったこともあり、ここまで6・2度と高くなっている。9日時点で、最高気温が10度を上回る日が7日あった。

 同市内のガソリンスタンドは、「灯油の売れ行きが悪い。冬用タイヤへの交換も少なく、事業所に何台かあるうちの1台だけでいい、といった具合」という。同市道路整備課によると、この冬の融雪剤の散布、除雪の出動はゼロ。前日の午後4時の予報で氷点下3度、湿度80%を目安に委託業者が出動するが、今冬はそこまで気温が下がっていない。

なお昨年度は、散布と除雪に約1730万円かかった。

季節外れのブロッコリーや、凍てにあわずきれいな野菜が持ち込まれた丹波市立地方卸売市場=2020年1月9日午後3時26分、兵庫県丹波市氷上町石生で

季節外れのブロッコリーの出荷も

 市地方卸売市場に出荷している同市内の男性生産者(70)は9日、季節外れで大きく育ったブロッコリーを持ち込んだ。「成長が早く、花が咲きそう。安くてもいいので商品価値があるうちに売ろうと持ってきた」と言い、「小松菜も大根も早く大きくなり過ぎている。娘は、『暖房のない部屋に白菜を置いていたのに、傷んだ』とくやんでいた」と話した。

 同市場を運営する東兵庫魚菜の久下聖太社長は「暖かいので鍋材料が売れない」とこぼしていた。

1月2日に畑の菜の花にとまっていたイナゴ=兵庫県丹波市青垣町大名草で(足立さん提供)

早くもイナゴ、ミツバチが登場

 同市内の専業農家、足立浩一さん(42)は、「1月2日に畑にイナゴがいた。9日はミツバチが飛んでいた」と笑う。例年ならこの時期は出荷を止め、土づくりやのり網の修理など冬の仕事をするが、野菜が育つため出荷を続けているという。

 「タマネギやエンドウ、キャベツなどは今大きくなると、後で影響が出る。成長して寒さに当たると傷むので、小さいままで冬を越してくれた方がいいんだけど」と心配している。

雪降らずスキー学校延期

 同県但馬地域の雪不足のため、丹波市内の中学校1年生は1月に予定していた2泊3日のスキー修学旅行を2月に延期し、雪が降るのを待つ。13―15日に出発予定だった4中学校は延期を決定。残りの3中学校も連休明けの14日ごろに判断する。

 市中学校長会長の梅田俊幸市島中校長は「行かせてやりたいが、天気のことなのでどうしようもない。雪が降るのを待つ」と気をもんでいる。

過去に、延期しても実施できなかった学校が、翌年に1、2年生で実施したこともあるといったことも、教諭の間では話題になっている。

年末か年明けか定かではないが、クマに折られた枝がぶら下がったカキの木(9日時点)。繰り返し木登りしたと見られる爪跡が幹に残っている=兵庫県丹波市青垣町内で

クマも冬眠せず?

 暖冬との関係は明らかではないものの、年の瀬の12月26日と27日に同市内でツキノワグマが誤ってシカ、イノシシ用のわなにかかった。2頭は別の個体と見られる。市によると年が明けてからは、目撃情報はないという。

 同市内の県森林動物研究センターによると、「冬眠しないクマもいる」と言う。冬眠は、気温以外にも日照時間や栄養の蓄え具合などが関係しており、「年明けから出没が確認されておらず、冬眠に入ったかもしれないが、起きているクマが餌を求めて徘徊している可能性があるので注意を」と話していた。

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