33年ぶり葺き替えも予算切れ 結果、ツートンカラー美しく 県指定文化財の江戸期住宅

2020.02.13
ニュース丹波市地域地域

軒に向かって未施工部分が残る東面=2020年1月30日午後1時26分、兵庫県丹波市青垣町佐治で

兵庫県指定文化財で、同県丹波市青垣町の「旧朝倉家住宅」の茅葺き屋根の葺き替え工事が、このほど終わった。葺き替えは33年ぶりで、3面あるうちの2面が新しくなり、残る1面は補助金の都合で途中まで。次年度以降に持ち越した。施工済みの鮮やかな茶色部分とコケが生えた未施工の緑色部分がツートンカラーになっており、改修前と後が一目瞭然の不思議な光景が広がっている。

全面が葺き替えられた西面

同住宅は、建物の形式から1700年代の中頃の構造物と考えられており、屋根の形は、南面が切り妻、北側が入母屋。

葺き替えは、北面(約34平方メートル)と、西面と東面の棟返し(約138メートル)で実施。厚さ50センチで葺いている。

東面の葺き替えは途中までで、新しい部分と、コケが生えて茅がやせ細り、傷んだ部分が同居したまま。未施工個所は茅の厚みが施工済み個所と比べ、半分ほどに痩せている様子がうかがえる。

施工した京都府の業者によると、全面葺き替えが望ましいが、こうした「途中までの葺き替え」はよくあることという。昨年12月から工事を始め、3月中旬までの工期だったが、2月初旬に作業を終えた。雪で作業ができない日があると想定した工期にしていたが、思わぬ暖冬で作業がはかどったという。

同住宅は、雪が屋根から滑り落ちやすいように、屋根の勾配が47度ほどの急こう配。雪深かった300年前の冬の厳しさを物語っている。

1972年に、同町内にあった旧宅を移築復元。73年に県文化財に指定されている。

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