コロナ休校で児童クラブ開所 教職員が見守るケースも 「矛盾感じるも仕方ない」

2020.03.06
ニュース丹波市丹波篠山市地域

小学校で始まった児童クラブ。午前中は教職員が見守るケースも=2020年3月3日午前11時31分、兵庫県丹波篠山市内で

新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受け、兵庫県丹波篠山市内の幼稚園、認定こども園(一部)、小、中学校が15日までの臨時休校・休園に入っている。市教委は、休校中に子どもの面倒が見られない共働きなどの世帯のために預かり保育や児童クラブを3日から実施。長期休業中と同じく午前―午後、開所している。中には通常の実施団体に加え、小学校の職員が預かるケースも。目まぐるしく情勢が変わる中、市教委は、「みなさんの協力でなんとか実施することができる」と胸をなでおろしている。

児童クラブ、預かり保育ともに行く前に自宅で体温を計り、「健康観察カード」に記入して提出。発熱(37・5度以上)や呼吸器症状がある場合は利用できない。できる限り、マスクを着用することを求めている。

小学校の児童クラブは全14小学校で324人が申し込み。夏休みなど多いときには920人が利用しているが、希望を取ったところ3分の1程度となった。高学年ほど利用が少なく、学校関係者は、「高学年は家にいてくれたり、低学年は家族に見てもらうなど、かなり協力してもらっていると思う」と感謝する一方、「休校になっているのに人が集まる場所に行っては意味がないという保護者もいるだろう。私たちも矛盾を感じているが仕方ない」と漏らした。

3小学校で午前中は教職員が、午後からはクラブの職員が預かっている。そのほかの各校は、通常通り実施。いずれも夏休みなど長期休業中と同じく弁当やお茶などを持参して通っている。

普段、教職員は児童クラブの運営に携わることはないが、1日になって国が携われるように方針を出した。同市では方針を予測して学校長と協議を進めてきた。市教委は、「実施できたのは学校現場に協力してもらったことが大きい」と話す。

休園となっている幼稚園の預かり保育も開所し、早朝も含めた午前中は各幼稚園で預かり、弁当を食べた後、保育施設に移動する。

利用者数は8幼稚園で125人。こちらも通常時の167人よりも少ない状況になっている。

ある小学校では3日午前から、教職員が見守る児童クラブがスタート。利用した児童13人はなるべく対面にならないようにしたり、離れて座り、自主学習や本を読むなどして過ごした。部屋に出入りする際はアルコール消毒を行い、1時間ごとに換気するなどして感染が広がらないように注意している。

給食用に通常より大きく育ち、収穫期を迎えたホウレンソウ

一方、小、中、特別支援学校の休校を受け、学校給食も3―13日、キャンセルとなっている。市によると、地元野菜を提供している小売店では大きな在庫は抱えていないが、一部、地域農家の団体が出荷予定の野菜が収穫できず、廃棄を免れようと工夫している。

西紀農業クラブ(12人)は、西部学校給食センターにホウレンソウを出荷しており、扱いやすいように通常のホウレンソウよりやや大きい約40センチのサイズで収穫している。

3つの畝で作っているホウレンソウ約200キロが収穫期を迎えていたが、これから気温が高くなることから、生育が早くなり、商品として扱えなくなる。地域住民に食べてもらうか、一部を直売所で販売している。

同クラブの代表は「農業をやっていればいろいろある。廃棄はもったいないので、なんとかさばいていきたい」と話している。

隣接する丹波市でも、臨時休校が決まった2月28日時点で、3月分の発注を済ませていた。一部食材で、日持ちがしないため廃棄せざるを得ないものもあるという。

近隣5市に1日1万8000本(200ミリリットル)を納入する丹波乳業(同市氷上町)は、給食用牛乳が売り上げの3割を占めており、大打撃を受けている。吉田拓洋社長は、「売り上げが落ちる分の補償の方針などを早く出してほしい」と話す。

給食センターに野菜を納入する女性(64)は、納入を予定していた大根300キロ、白菜200キロなどが宙に浮き、「怒りのぶつけどころもない」と話している。

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