おはぎ作りで食体験 外国人向け企画で入賞 「丹波ブランドを世界にアピール」

2023.10.20
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やながわが考案したおはぎ、お茶作りの盛り付けセット=兵庫県丹波市春日町野上野で

兵庫県丹波地域の特産の加工販売を手がける株式会社やながわ(丹波市春日町野上野)が、訪日外国人向けの魅力的な食体験を表彰する農林水産省の「食かけるプライズ」で、応募時点で商品化されていない事例を対象とした「ネクストブレイク賞」を受賞した。情緒あふれる日本の伝統的な食文化に深く触れてもらおうと、丹波の特産をふんだんに使ったおはぎを作り、茶と味わう体験商品を考案。同社代表取締役の柳川拓三さん(69)は「日本人が忘れつつある文化を見つめ直し、『丹波ブランド』を世界にアピールしたい」と展望を語る。

「食かける―」は、日本の食文化を外国人に発信し、訪日意欲をかき立てることを狙い、2019年にスタート。今年は全国から108件の応募があった。地域の魅力発信事業を展開する会社社長や観光業界の専門家ら9人が審査。「食かける大賞」(1件)、「食かける賞」(7件)、「ネクストブレイク賞」(2件)の計10件を選出した。

やながわが考案した商品のタイトルは、「丹波おはぎを盛り付け日本の食文化を味わう」―。全国に誇るブランドの丹波産の栗、黒豆、大納言小豆、もち米などを使ったおはぎ作りを、地元住民らの指導で、参加者が野上野の地域拠点施設「ゆめの樹」で体験。作ったおはぎは、紅葉など季節に応じた葉と共に、日本六古窯の一つ、丹波焼の器に盛りつける。丹波産茶葉を焙烙急須で焙煎したほうじ茶も味わう。

今後、商品提供に向けて専門家のアドバイスを受け、内容を磨きながら、PR動画や海外サイトの制作などに取り組む。また、同社の加工施設で急速冷凍したおはぎと、丹波焼の器、焙烙急須のセットも、海外サイトで販売したい考え。

おはぎ作り体験は、ゆめの樹で既に行っており、モニターとして訪れた外国人から好評という。わびさびの精神に触れられることから外国人に人気の茶道と、特産を掛け合わせた商品を考えた。

柳川さんは「味わった人が、母国で良さや文化を広めてくれて、『日本に行こうか』という好循環が生まれる」と期待。「人流が戻りつつある中、グローバルな広い視点を持ちながら、足元の地域を盛り上げていきたい。丹波には甲子園球場や宝塚大劇場のような大きな集客施設がない分、観光資源として特産を活用していかなければ」と話す。

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