丹波古文書倶楽部代表 岸孝明さん(丹波市)

2023.11.26
たんばのひと

岸孝明さん

生きた証し掘り起こす

丹波地域に残る江戸時代の古文書で、主に各村に伝わる「区有文書」を読み解く丹波古文書倶楽部の代表を務めている。村の歴史を探り、当時を生きた人の“証し”を掘り起こしている。

小学生の頃、地元の丹波市柏原町大新屋にある古墳が遊び場だった。「昔の人は古墳をどうやってこしらえたんだろう」―。まるで好奇心の塊だったという。

大学時代は史学科で、西洋史を専攻した。探究心はあるものの、肝心の史料はヨーロッパにあり、直接、触れることはできなかった。いつか、手にできる村の史料をもとに、地元の歴史や文化の発展を研究したいと思うようになったという。

同倶楽部発足時(2011年)からの会員。各村には、隣村同士で山の境を巡って争った「山論」や、農業用水の取り合いをした「水論」など、いわゆる行政文書が多く残っているケースがある。「当時、争い事は奉行所に裁定してもらう。江戸時代は証拠主義で、村同士の約束を書いた書類や絵図面がないと、証拠として認めてもらえなかったようだ。日本ほど、これらの関連文書が残っている国はない」と語る。

印象に残っている古文書がある。丹波市内の寺にある仏像の胎内に収められた、母が子を思う“願文”だ。行方不明になった子に会いたいと書かれた文書で、「子を思う親の気持ちは、いつの時代も変わらない。その時代を生きた人々の息遣いが感じられた」と振り返る。
大新屋自治会の歴史を、子どもたちに分かるような資料にまとめるのが目標という。「区有文書は地域の財産。村の歴史を復元したい」。75歳。

関連記事