約50年ぶり本殿改修 檜皮葺き替えなど完了 ご神体戻す「遷座祭」

2023.12.29
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暗闇の中で行われた遷御。ご神体が周囲の目に触れないよう、絹垣で囲いながら運んだ=兵庫県丹波市柏原町柏原で

国の重要文化財に指定されている柏原八幡宮(兵庫県丹波市柏原町柏原)の約50年ぶりとなる本殿改修工事が完了し、新年を前にすがすがしい姿がお披露目されている。16日、改修工事期間中に仮遷座していたご祭神を本殿に戻す「正遷座祭」が行われた。

本殿改修は、来年の創建1000年に向けた「令和の大修造」のメイン事業。昨年8月に着工し、檜皮葺屋根のふき替えをはじめ、社殿彩色の学術的な調査、耐震補強などを実施した。屋根は、檜皮の美しい曲線がくっきりと浮かび、金物(紋)の金箔を貼り直したり、千木、鰹木、箱棟の銅板を新しくしたりして、往時の輝きがよみがえった。また、本殿内の畳を総入れ替えし、調度品も一新した。

50年ぶりに檜皮葺屋根がふき替えられた柏原八幡宮

ご神体(3柱)はいったん、三重塔に仮遷座した後、厄除神社の改修工事が完了したため、昨年12月に厄除神社に2度目の仮遷座を行い、今回、本殿に遷座した。遷座祭には、氏子ら約50人が出席。午後5時から始まり、明かりを消した真っ暗な境内で厳かに遷御が行われた。

ご神体が見えないよう、遷御の際は、ご神体を運ぶ千種太陽禰宜を氏子らが絹垣と呼ばれる白い布で囲んだ。本殿内で、千種禰宜が、千種正裕宮司にご神体を手渡し、お祭りする内陣に納めた。

神事を終えた大西眞氏子代表総代(70)は「年末に無事、きれいになった本殿に移ってもらうことができ、うれしい」と話した。

現在の社殿は、1585年(天正13)に豊臣秀吉によって再々建されたもの。本殿改修の総費用は約1億2000万円で、国が7割、県と市が各1割を補助する。

千種宮司は、「社殿が新しくなり、気の引き締まる思い。また、今回の調査は前回にはなかった科学の力が入り、当時の彩色が明らかになったのも意義があった」と話していた。

令和の大修造に際し、来年3月末まで、引き続き寄付を募っている。コロナ禍の影響もあり、目標額に達していないという。一口1万円から。

 

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