校舎に続く「鳳鳴坂」 思い出と健脚はぐくむ 負担減にユニーク研究も

2024.02.15
たんばの世間遺産

生徒たちが負担に感じつつも思い出を刻んでいる「鳳鳴坂」=兵庫県丹波篠山市大熊で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波篠山市大熊にある篠山鳳鳴高校の「鳳鳴坂」です。

門をくぐり、高台にある校舎まで続く1本の坂。昭和48年(1973)に同市北新町から現在の地に移転し、幾人もの鳳鳴生が青春の一こまを過ごしてきたこの場所は、いつの頃からか「鳳鳴坂」と呼ばれている。卒業式の答辞などにも登場し、関係者のほとんどがこの名で呼ぶなど、ほぼ公式な名前。ただ現役生にとっては「負担」でもあるようで―。

「鳳鳴坂から鳳鳴生を救え」。そんなタイトルで授業「探究」の発表を行ったのは、同校3年の4人。坂の傾斜が生徒の負担になっているとし、負荷の少ない登り方を考えるというユニークな研究だ。

4人の調査によると、坂の距離は280メートル。生徒へのアンケートでは9割が疲労を感じていた。過半数は自転車で25分以上かけてやってくる。家などから必死にペダルをこいだ後に迎える難関。疲労を感じて当然だ。

「探究」で生徒たちが行った発表

疲労度の実験なども行い、導き出した結論は、「負担を軽減するために、荷物を少なくすること」。そのために生徒が教材を置いておけるロッカーの設置を学校に求めた。なんと願いは実現。今年度から毎年1学年ごとに設置が進んでいる。

4人は「プレゼンやグループワーク、自分で課題を見つけて研究する大切さなど、大学にもつながる学びが得られた」とほほ笑む。

健脚だけでなく、知的探求心をも育む鳳鳴坂。きょうも生徒たちはペダルをこぎ、胸と脚に思い出を刻んでいる。

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