伝統の力で半世紀 受け継がれる「なわとび記録会」 連載”まちの世間遺産”

2024.03.20
たんばの世間遺産丹波篠山市地域

 

「なわとび記録会」で、日々の練習の積み重ねを披露する児童たち=兵庫県丹波篠山市本郷で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波篠山市本郷の西紀北小学校で48年間続く新春の伝統行事「なわとび記録会」です。

48回目となる今年度も全児童(30人)が、自分の中の1等賞を目指し、記録更新に挑んだ。会場に詰めかけた家族の前で、「あや二重跳び」「背面交差跳び」などの難易度の高い技も披露。大人にはまねのできないような跳び方の数々を日々の練習の積み重ねによって体得したわが子や孫の姿に「すごいなー」と感嘆の声を漏らし、その頑張りに惜しみない拍手を贈っていた。

記録会では、▽自分で選んだ2種目で記録に挑戦する「1分間早回し」▽音楽に乗せて踊るように跳んで見せる「リズムとび」▽今年度からの新プログラムで、低・高学年の学団で大縄跳びに挑戦する「1分間8の字とび」―の3つの演技を行った。

同校のOBでPTA会長の山根雄さん(42)は、「私も跳んだ。思い出すなあ」と懐かしみ、「児童数は当時の半分ぐらいになってしまったけれど、活気は当時のままで何より。この先も残していきたい母校の伝統」とほほ笑んだ。

児童会長の荒山泰己さん(6年)は、「ようやく二重跳びができるようになった。6年間で初めて(好成績者として)名前も呼ばれた。練習の成果が出たことを実感できてうれしい」と達成感に浸っていた。

低学年は高学年の技を見て、「僕も、私も、いつかは」と憧れ、練習に励む。高学年は低学年の憧れの存在になれるように練習に力を注ぐ。子ども同士で技を教え合って上達していく。異動で教師が変わっても技は受け継がれている。

「まさに伝統の力」と話す堀香織校長は、「日々、自主練習に励み、去年の自分、昨日の自分を超えようと挑戦する姿を見せてくれた」と児童たちの奮闘をたたえた。

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