国文化財「妙見堂」の模型製作 大学時代の研究が縁 地元宿泊施設へ寄贈

2024.03.10
地域歴史注目

国指定重要文化財の長谷寺妙見堂の模型を贈呈した木下さん(左)と、藤坂の藤田自治会長=兵庫県丹波篠山市中で

兵庫県丹波篠山市内に3棟ある国指定重要文化財の建造物の一つ、「長谷寺妙見堂」(同市藤坂)の模型を、東京都の木下晴雄さん(74)が製作し、同寺の地元、大芋活性化委員会に寄贈した。木下さんは、大学生時代に妙見堂を調査した縁がある。模型は、地元の廃校を活用した宿泊施設「泊まれる学校おくも村」に常設される。

木下さんは、甲南大の古美術研究部に所属。県内全ての文化財を調査していた際、長谷寺を担当した。1970年の調査で、建物に施された一部の飾りに室町時代の特徴が見られたことから、県文化財専門委員の大学教授に見てもらったことをきっかけに、後の重要文化財指定(国指定79年)につながったという。

最近になり、古本屋で偶然、妙見堂の解体修理報告書を見つけたのが模型を作るきっかけになった。建築年が確定されていないことを知り、自分なりに探ろうとじっくりと読み込んでみたが、専門用語が多く、理解が進まないため、実際に模型を作ることにした。

高さ約32センチ。「重要文化財長谷寺妙見堂保存修理工事報告書」(90年、修理委員会発行)の図面を参考に、およそ2年半かけて15分の1のサイズで作った。

木下さんは、「内部構造が分かるように正面から見て左側の壁と屋根野地を除いた。今後も妙見堂の研究を続けたい」と話し、藤坂の藤田福夫自治会長(70)は「多くの人に妙見堂のことを知ってほしいので、おくも村での展示を決めた。立派な模型で地域の宝にしたい」と喜んでいた。

木下さんは、サイト「丹波篠山妙見堂の研究」で、建物の説明や模型作成の記録などを発信している。

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