総動員体制に震撼

2018.09.16
未―コラム記者ノート

 丹波市氷上町新郷に先の大戦末期にあった赤井野グライダー訓練所の連載の調査で、戦時中の資料を読み返している。昭和30年の旧町誕生前、旧村の「村誌」を読むにつけ、国家総動員体制下、この丹波の山奥の最末端までありとあらゆる層が戦争に取り込まれていたことが分かる。

 ある村の村誌によると、在郷軍人会、軍友会、大政翼賛会、翼賛壮年団、大日本婦人会、婦人防護団、警防団などの銃後を守る団体があった。

 村で暮らすには、必ず何かの団体に所属する。隅々まで行き渡るという意味で、檀家制度に似ていると感じ、ある住職にそう言うと「軍はそのあたりの研究もしたと聞いたことがある」と。うなってしまった。

 当時の滑空訓練生、80歳代半ばから最高齢94歳の証言を聞き取る中で、息を飲む、震撼する事が何度もあった。赤井野と直接関係しない部分は連載では割愛しているが、何かの機会に発表したい。

 月並みな言い方しかできないが、平和は何ものにも代えがたい。8月初旬から始めたこの取材を通し、前とは少し世界が違って見えている。
(足立智和)

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