本紙で3回連載した「新しい医療の船出」。取材を通し、医師数の回復が先行し、患者数の回復が遅れていることに気づいた。医師数が「どん」と増えたのは今年度からなので、今年度以降、増えた医師数に見合う患者数になっていかなければならない。
連載の中でも触れたが、医療崩壊で診療機能が低下した県立柏原病院を受診する丹波篠山市民が激減した。「北」の柏原でなく、三田市民病院など「南」に患者が向いていることは同市消防本部の救急搬送状況でも明らかだ。
ただ、同市民病院は統合・再編議論があり、先行きに関し、注視が必要だ。診療科がそろっていない課題はあるが、「北」に目を向けてはどうだろう。
丹波市では、病院を受診しない市民が大勢新病院を「見学」に訪れている。見舞いに、将来の受診に備え、下見の意味でだ。丹波篠山市民も、買い物ついでにでも立ち寄ってみてはどうか。
県が丹波地域のために190億円を投じた。丹波市民だけが使うのは、もったいない。新しい施設で提供される医療の恩恵を丹波篠山市民も。(足立智和)