化石と郷土愛

2007.01.29
未―コラム記者ノート

「恐竜の化石発見」のニュースに沸く丹波市山南町上久下地区。多くの観光客が一目発掘現場を見ようと訪れ、観光客用の駐車場も用意された。恐竜の巻き寿司や化石を模したパイ菓子なども考案され、一大ブームが巻き起こっている。 そんな中、同地区の喫茶店「寿美礼」の恐竜の卵が話題になっている。もちろん本物ではなく、水にひたすと、中から恐竜の人形が出てくる。 詳細を聞くと、お客さんが「こんなものがある」と持ってきたのがきっかけで、これが思いのほか好評だという。ちなみに、人と自然の博物館の職員は、これを見た瞬間大爆笑したそうだ。 その取材中、気になる話を聞いた。発見場所の近くに田んぼを持つ住民が、シキミを移植しようとスコップを持って訪れたところ、ガードマンに制止されたそうだ。「地権者だ」と名乗ると、「そういう人が五人いました」と答えたそうだ。その時は思わず笑ってしまったが、これは由々しき事態だ。 恐竜のおもちゃが、話題を呼んでいるのは化石発見のニュースを、ひいては地元を愛する人々がいてこそだと思う。その精神で、人類共通の宝を守っていかなければ。(西澤健太郎)

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