汗と埃にまみれ白球を追いかけた球児たちの夏が終わった。氷上中出身の清水大成君がエースを務めた履正社が3730校の頂点に輝き、幕を下ろした。そんな清々しい戦いの陰に、暑さにもだえながら業務を遂行したアラフィフ記者の姿があった。
今年は、丹波地域から3人もの球児が甲子園へ、という前代未聞のうれしい事態となり、私はカメラマンとして3度、現場に足を運んだ。
篠山東中出身の中森君がエースを務める明石商業と履正社がぶつかった準決勝。私はセンターバックスクリーンで超望遠レンズを構えた。炎天下で約3時間、ファインダーをのぞき続ける作業は思いのほか厳しく、試合中盤辺りで頭がぼーっとし始めた。場外から聞こえてくる救急車のサイレン。場内では何度も「熱中症にご注意を」のアナウンスが響いた。一度、日陰に入って涼もうかとも思ったが熱戦を撮りこぼせない。隣でビールに喉を鳴らすおじさんをなるべく視界に入れないようにし、「選手も応援団も頑張っている。私も」と自身を鼓舞して、汗でかすむ瞳をカッと見開いて被写体を追い続けた。(太治庄三)