丹波市の新年度予算案が発表された。経常収支比率は93.2%。ごく単純化すると、収入1000円のうち、932円は、借金返しや人件費もろもろの支払いに消え、68円しか自由に使えるお金がない状態、と言えるだろう。 合併による「痛み」は、市民と市当局、議会が分かち合わなければならない。新年度予算案は、負担が増える人と減る人で年間に18万円の差が出る保育料を端的な例として、6町のサービス調整によって住民生活に影響を与える部分を含んでいる。しかし、例えば、合併前に行なわれていた三役の給与カットといった、市当局側や議会の痛みを伴う改革が、予算案には反映されておらず、市や議会の「痛み」は、見えにくい。旧町時代と比べて、財政状況が何ら好転していないにのにも関わらず、だ。 68円しか無い訳だから、住民も負担増を辛抱する部分は、辛抱していかなければならない。しかし、「当局側が精一杯切り詰めた上での負担増」でなければ、受け入れられないというのが住民感覚ではないだろうか。「隗(かい)より始めよ」の言葉がある。まず「痛み」を負うのは誰なのだろうか。(足立智和)