それそれの被災体験

2007.01.31
未―コラム記者ノート

 丹波地方でも歴史に残る甚大な被害を受けた、台風23号から2週間余り過ぎた。水に浸かった店舗では、関係者らの必死の努力により、多くが再開されたのを見てうれしく思う。被災した道路や集落を車で走っていると、一見ほぼ元の姿を取り戻したような印象を受ける。 しかし、車から降りて歩いてみると様子は違う。民家は床板が上げられたままで、床下にまいた石灰が見えて痛々しい。壁土は浸水した部分から下が剥げ落ち、柱などにも泥の跡が残っている。こうしたこん跡を目にすると、決して『元通り』にはならないようにすら見えるほどだ。再開した店舗にしても、再建はまだまだこれからが正念場だろう。 被災した人たちに話を聞く中で感じたのは、災害時に1人で行動するのは危険だということ、復旧に一番有効なのはやはり「人手」だということ。当たり前かもしれないが、改めてそう思った。 「床下浸水○軒、床上浸水○軒」といった数字からは想像しにくいが、被害にあった人の数だけ、それぞれの体験があった。そこから得られた個人的な教訓を共有できれば、災害に強いまちに一歩近づくだろう。(徳舛 純)

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