篠山市今田町で先日、まちづくりのシンポジウムが開かれた。魅力ある焼き物の郷を目指そうとする「かまぐれ塾」が企画したものだが、今田地区のことだけでなく、まちづくりの本質に関する話が聞け、大変興味深かった。 その中で、パネリストの一人が「戦後のまちづくりはいかに地域格差をなくすかが目標だった」と説明。追いつけ追い越せの“キャッチ・アップ”に力を注いできたあまり、個性のない金太郎飴のようなまちばかりになってしまったと話した。 確かに戦後、伝統的なものを“古臭くて時代遅れ”と否定する風潮があった。しかし、今になってその否定されてきたものを再評価する空気が高まっている。また、それはただ古ければいいというものでなく、その土地の持つ特性に根ざしたものでないと、新たな輝きは生まれてこない。 丹波もこれまで、“田舎”であることを否定しようとしてきた面があると思う。だが、今は変化に富んだ美しい自然など、“田舎”であることそれ自体が大きな強みとして認識されるようになっている。シンポジウムでは最後に、「ナンバー1でなくオンリー1のまちづくりを目指そう」という意見も出た。そのためにはまず、われわれが自分たちが住むまちを見直し、誇りと自信を持つことが大切だと感じた。(坂本守啓)