今田地区の認定農業者らが、商工会と会議を開いた。来春の温泉施設一部オープンを前に、両者の連携を深めようと初めて開かれたものだが、観光や特産品開発などだけでなく、安心・安全な農産物作りに関することも盛んに話し合われた。 例えば、認定農業者グループに酪農を営むメンバーがおり、もみ殻と牛ふんを利用した堆(たい)肥作りに取り組んでいる。しかし、それだけでメンバー全員の田畑はまかなえず、現在は全体の2-3割程度。それを4割以上に引き上げようと、黒豆の豆がらを使った堆肥作りも進めていくという。 グループの代表、大内敬博さんは、「土づくり、結局これが基本。地力が上がれば病気になりにくく、農薬も少なくてすむ」と言う。「農薬を使わないことで水もきれいな状態に保て、作物の食味も上がります」という言葉からは、より良いものを作ろうとする誠意が感じられた。 食品の偽装表示や残留農薬問題に端を発し、注目を集めている「食」。安全なものを供給しようとする農家の頑張りは、ひとかたならないものと強く感じる。しかし、過日の市農業振興大会で「消費者には見る目を養ってほしい」という声が出たように、消費者が農家の努力に報いているかどうか。農家に求めるだけでなく、われわれ自身も変わっていかなければならないと思う。(坂本守啓)