ノーヒットで迎えた9回からの逆転劇。母校・柏原の2回戦のドラマを聞いて感動し、初めて高校野球を姫路球場に応援に行った。3回戦の対戦相手は、昨年優勝の東洋大姫路。正直、「大敗しなければいいけど」という気持ちだった。 ところがフタを開けてみれば、がっぷり四つの互角の戦い。選手たちの雰囲気もよく、伸び伸びとプレーしているように見えた。最終的には5-2で敗れてしまったが、応援席からは「私学の名門相手に、いい試合を見せてくれた」とあたたかい拍手がおくられた。 終了後、東洋大姫路の応援席から、柏原の健闘を称えるエールが送られ、それに応えて柏原側からも今後の活躍を応援するエール。スポーツマンらしいルールに、負けた悔しさを一瞬忘れ、さわやかな気持ちになった。 さて翌日、柳川監督に「惜しい試合でしたね」と電話すると「東洋大姫路に勝てると、本気で思う子がいなかったのが残念」と言われてはっとした。試合中にベンチで言い続けたのは、「いい勝負をしに来たんじゃない。勝ちに来たんだ」という言葉だったという。監督は今年で引退されるそうで、「最後の心残り」とも。 この時初めて、「本気で信じていれば、本当に勝てたかもしれなかったのだ」と思った。(徳舛 純)