丹波市市島町で行われたキノコの植菌研修会。山林保護などに努める2つの団体が初めて共催したものだ。ある参加者から栽培しているキノコを見せてもらったとき、気になる話を聞いた。「山の保水能力が弱まっている」と。 昔は山の中腹で栽培しても問題はなかったが、徐々に栽培する場所はふもとの川のそばになった。キノコを育てるのに必要な湿気が確保できないためだ。昔は日役で間伐をしていたが、今は参加する人も少なく荒れ放題になり、山が水を蓄える役割を果たせなくなっている。「石油より早く真水が枯れるという話もあるのに」とその人は結んだ。 別の参加者からは、観光で訪れた舞鶴市の漁師に「山をもっと大事にしてくれ」と言われたという話を聞いた。 近年、魚が大きくならず、それは山からの栄養不足のためでは、と考えているそうだ。落葉樹の葉が川に落ちて栄養になり、河口でプランクトンを発生させ、それを魚が食べる、という循環が崩れている。 今、山を守るために必要なのはまず多くの人に関心を持ってもらうこと。記事でその手助けができれば、と思う。(西澤健太郎)