酒井院長を救え

2007.04.05
未―コラム記者ノート

 「院長を引き受けるべきじゃなかったのか…小児科医が小児科をつぶすことになるかもしれないなんて」。酒井國安県立柏原病院長はため息混じりにつぶやいた。 前院長の代までは、柏原病院長は名誉あるポストで、神戸大医学部の教授や助教授が就任し、医師の安定供給に貢献していた。すでに、そのシステムは崩壊。小児科、産科は、大学から「医師は派遣できない」と伝えられ、補給を絶たれた消耗戦に突入している。 柏原赤十字と兵庫医大篠山病院の存続問題が取り沙汰され、これまでクローズアップされて来なかったが、院長談話にあるように、県立柏原病院も存亡の危機にある。 拾う人がいなかった火中の栗を病院のために拾われ、患者と後輩医師のため、変わらず診察に立っておられる院長の健康を心から心配する。 午後8時ごろから取材に伺うことが多い。午後9時、遅ければ10時ごろに私が病院を離れても、院長が自宅に戻られる気配はない。帰る間際、毎回思う。「今夜も泊まられるのか…」と。このまま、見殺しにしていいのか。県には、即刻小児科医を派遣する責任がある。(足立智和)

関連記事