決まり手は肩透かし?

2007.06.18
未―コラム記者ノート

 県健康局長の丹波地域の医療事情の把握していなさぶりに、「お母さん方、席を立つんじゃないか」と思いながら、局長と「小児科を守る会」の懇談のようすを取材していた。局長は、柏原病院小児科の外来が4月から予約制になっていることや、市立西脇病院の小児科医が7月から1人になることなど、狭まる診療の実態を知らなかった。さらに、神戸市北区の済生会兵庫県病院まで「春日和田山道路を使って、丹波から救急車に乗れば30分で行けませんかね」と言い、母親たちを驚かせた。 母親たちは、知事との面談を希望したがかなわず、局長になった経緯がある。代役とはいえ、事前に知識・情報収集をするのが誠意だろう。 医療崩壊に詳しい、伊関友伸城西大学准教授は、受診する側が「お医者さんを守ろう」とメッセージを出している運動は全国的に例がなく「画期的」と評価する。NHKの全国放送でも紹介されるようだ。しかし、範となる可能性があった母親たちの運動も、今回の見事な「肩透かし」で、終えんを迎えるかもしれない。「兵庫県に言ってもダメ、ってことが分かって良かった」。笑う母親たちの姿が痛々しかった。  (足立智和)

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