この夏、宮城県気仙沼市と静岡県焼津市を、それぞれ旅行する機会があった。どちらも1泊2日だったので、目的地でご飯を食べて寝たくらい。しかし、印象は気仙沼の方が強かった。途中の道のりのせいだろう。 気仙沼は県北部にあり、仙台市からも遠い。新幹線で30分北上した後、在来線で1時間半も東進する。しかし、このローカル線の旅が、山間の田畑や地元の人をつぶさに見られて楽しかった。一方の焼津は、新幹線の静岡駅から在来線で10分足らず。アクセスは抜群なのだが、街から街へと移動した感じで、旅気分に浸るには趣に欠けた。もちろん、焼津の「行きやすさ」を好む人もあるだろう。「観光地としての魅力」というのは色々な種類があるなあ、と実感した。 大阪から在来線で1―2時間の丹波地域はどうか。アクセスの良さをPRすることも出来るし、「奥まった田舎」を前面に出すことも可能だ。しかし、両方の手法が使えることが、かえってPRポイントを絞りにくくさせているような気もする。観光地としての丹波はどんな場所なのか―。単純なようでかなり難しい問いである。(古西広祐)