楽しい方がいい

2007.10.18
未―コラム記者ノート

 市島町酒梨地区が、先日行った地区運動会で、消火器から出る消火剤を的に当てるなどの種目を取り入れたリレーを行った。子どもからお年寄りまでが集まる機会を利用して、楽しみながら防災意識を高めようという試みだ。「防災訓練」と構えてしまうと、大事なことと分かりながらも住民の足もつい遠のいてしまうとの考えから生まれたアイデアだ。 また、春日町の老人クラブのスポーツ大会では、車いすの正しい使い方を学ぶ時間を設けた。車いすに乗ったり、押したりして、ジグザグに走行したり、低い段差を乗り越えるなどした。こちらも「福祉車いす体験」などと構えたものではなく、印象的だったのは、参加した人たちがみんな笑顔だった点だ。 両者の取り組みは、大切な問題を身近に感じるという意味では、どんなに内容の濃い講習会や本を読むよりも効果があったに違いない。誰しも眉間にしわを寄せているよりも、楽しい方がいい。「福祉」「防災」という言葉をあえて使わず、消火器を握ってみる、車いすを押してみるという気軽なところから始めてみては、というメッセージに思える。(芦田安生)

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