「入り口は遊び、出口は文化」。最近の取材で、印象に残った言葉だ。発言の主は、丹波市山南地域のまちづくりグループ「丹波漢方の里ワクワク隊」のメンバー。同グループが、地元小学生と同地域の川沿いに薬草を植える活動の取材中、グループの歩みをたずねると、理念として冒頭の言葉が返ってきた。 同グループは、「漢方の里」を掲げる山南地域のシンボルづくりに薬草の植栽を行っているが、他にもさまざまな活動に取り組んでいる。丹波市で初めてとなる古代米のどぶろく作りや、地域住民と協力して竹林の整備も手がける。いずれの取り組みも、参加しているメンバーの姿勢は明るく軽快。実行するには苦労も多々あるはずだが、どこか楽しそうに見える。「入り口は遊び」という言葉で、その理由が少し分かったような気がした。 少子高齢化や自治体の財政難など、明るい話題が少なく、難しく考え始めるときりがない丹波地域。軽やかな姿勢から始まるまちおこしは、どこか心がほっとする。そして、活動の目指すところは「文化」。入り口と比べると、ものすごく大きな到達点を見すえるこの姿勢もまた、いい。(古西広祐)