丹波地域の酪農家が危機にひんしている。高齢化、後継者問題など、慢性的なものを除けば、直近の大打撃は、飼料の高騰だ。サブプライムローン、バイオ燃料による投資家の穀物への異常な投資。遠い国の難しい問題が、私たちが住む地域の生産現場に、巨大な津波となって押し寄せているのを見た気がした。原油同様、身近な牛乳の背後にも世界がある。 取材した何人かの酪農家は、いずれもうつむき加減に「値上げを理解してほしい」とぽつり。本当にこのままでは、この地域から酪農家が消えてしまう。 おりしも、海外からの食べ物に人体に有害な物質が含まれていたことで、地場産の「安心・安全」なものが注目されている時期。そんな時に、地場産の食材が消えるとなれば、間違いなく地域の力が一つなくなるといっていい。 「ガソリンに比べれば、牛乳くらい大した問題ではない」と思っている人がいたら、ぜひ考えを改めてほしい。地域で搾られた新鮮な牛乳をみんなが飲む。素晴らしいことだと思う。これからも、そんな光景が続いていくことを願ってやまない。 (森田靖久)