試練の冬に備えて

2008.10.06
未―コラム記者ノート

 近ごろ、真夜中に犬がよく吠えるので、カーテン越しに気配をうかがっていると、なにやら柿の木の根元にうごめく者がいる。丸々と太ったタヌキだ。どうやら地面に落ちた熟柿を毎晩食べに来ているようだ。 からかってやろうと、口笛を吹いてみたが、ちらりとこちらをいちべつしただけで、再び熟柿にかぶりついた。馬鹿にされたようでムッとしたが、餌の乏しくなる冬に備え、しっかりと体に脂肪をため込む必要があるのだ。野生動物にとっては、命がけの試練の冬越し。こちらに構っている暇などないということだろう。 さて、わが編集部では間もなく、正月の特集号の打ち合わせに入る。元日に読者の手元に届く、カラーを含む48ページ。さまざまな企画記事で構成された新聞だ。先輩記者でも、「正月号の編集作業は大変」とつぶやく。入社4カ月目の駆け出し記者の私には、かなりの大仕事となることが予想される。どうやら私にとっても試練の冬となりそうだ。 それに向け、今できることは、「ひたすら原稿を書く」こと。そうして経験という脂肪をため込むほかに術はなさそうだ。  (太治庄三)

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