保育園児の自慢

2008.10.30
未―コラム記者ノート

 双子の野ねずみ、ぐりとぐらが主人公の「ぐりとぐら」。森の中で大きなたまごを見つけ、集まってきた動物たちのために大きなカステラを焼くというおはなしは、思い出すとふわーと幸せな気持ちになる絵本。市島町で開かれた、作者中川李枝子さんの講演会を聞きに行った。 登壇した中川さんは、私にとっては予想外のきれいな白髪のおばあちゃん。1935年生まれらしいので、73歳だから当然と言えば当然だけど。歯切れ良く自分の考えを述べるおしゃべりが心地よかった。 保育士時代の経験で、「どんな家庭でもその家庭なりに英才教育をしている」と言っておられた。保育園児というのは親のことをなんでも自慢しているそうだが、Uちゃんという子は、「お母さんのお腹には3つも傷がある」が自慢だった。帝王切開と虫垂炎、胆石の跡。大きくなって、産婦人科医になったそうだ。代々続く造園業の1人息子、A君が選んだ職業はコック。お父さんがグルメで、あちこちの店に食べに行っていたのだそうだ。実は、意図していない「教育」の方が大きいのかもしれないと思えるエピソードだった。   (徳舛 純)

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