井戸敏三県知事が「チャンス」発言を取り消した数時間後、永田町でも1つの発言が撤回された。「政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ。忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳にすぎない」。脳出血の妊産婦の受け入れ困難事案に関連した、二階俊博経産相の発言だ。 医療者団体は「あまりに現場のことを知らない、軽率な発言だ」と抗議。小児科を守る会も「産科、小児科、救急などの現場で頑張っている医師の心を折らないで」と要望した。 13日の参議院厚生労働委員会で足立信也議員が、二階氏の真意を追及した。その中で、7月、丹波県民局が丹波の森公苑で開いた医療フォーラムの際の井戸知事のあいさつを取り上げた。足立氏は、「県立柏原病院は医師が半減し、現場の医師はとても苦労されている」とし、「フォーラムで知事は、『もっと情熱に燃えた医師』、と要望している。こういう発言が医療を崩壊させている面もある」と述べた。 大阪、阪南市立病院の医師8人が11日、辞表を出した。先月末に初当選した新市長の発言が原因だ。政治家のひと言は、非常に重い。(足立智和)