丹波市の新年度予算案が発表された。今年度問い合わせが「0」だった「産科医院開設補助」(6000万円)が再計上されている。予算を執行できる可能性は限りなく0に近い。額が一桁少ないことはさて置き、県立柏原病院が、いつ分娩を取り扱えなくなっても不思議でなく、後方支援の見通しがたたない状況下で開業する医師はいないだろう。 柏原病院の産科は、57歳と50歳の2人と、以前勤務されていた医師の応援、神戸大からの応援医で支えられている。大学からの応援医は、5月末で途切れる。常勤3人体制はあと3カ月。2人で分娩を取り扱うと、1年の半分は病院で泊まり、もう半分は帝王切開などの呼び出しに備え、自宅待機を強いられる。 50歳代の2人での分娩継続を求めることは、「先生が体を壊そうが、知らない」と言うのと等しい。不可能に近いがもう1人招へいするか、1日でも多くアルバイトに来て頂くことをしなければ、丹波市民が神戸市でお産する時代が遠からず来る。予算発表の会見で市長は、「もう1年(開設補助を)続けてみようと思った」と答えたが、結実するとは思えない。(足立智和)