写真の力

2009.08.10
未―コラム記者ノート

 先日、欲しかったデジタル一眼レフカメラをついに買った。高画質がウリのカメラで、私の稼ぎからすると、相当無理をしなくては買えないほどの代物だったが、元カメラマンだった私の気持ちを察してか、あっけないほどすんなりと妻から許可が下り、めでたく購入となった。 「写真には、原稿用紙100枚以上の訴求力がある」。かつてカメラマンをしていた頃、師と仰いでいた方からいただいた言葉だ。原稿に重きを置く新聞記者という現在の立場からすると、大きな声では言えないフレーズではあるが、やはり今でもそう思う。この仕事に就く前の一読者だった頃を思い出しても、新聞を見る順序は、まず写真。そして見出しの大きさという順番で記事を読んできたからだ。 取材対象者にとっては、永遠に残る大切なその瞬間。日常のどんな場面にでも、決定的瞬間は潜んでいる。慌ただしい現場では、撮影にさほど時間をかけてはいられないが、映像の持つメッセージ力の大きさを意識して、ていねいに撮影し、読者に届けたい。少々妻に後ろめたさが残る真新しいカメラを前に、決意を新たにしてみた。  (太治庄三)

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