ササユリが乱立。まさにこの言葉がぴたりと当てはまる状況だった―。先日「ササユリが咲き出したからおいで」と取材依頼を受け、篠山市の日置地区へ。 気さくな人柄のIさんに出迎えられ、裏山の栗林へと案内された。きれいに草刈りがされ、手入れの行き届いた林床から、無数のササユリがニョキニョキと。重たげにうつむいた大きなつぼみが風に揺れていた。野山歩きが趣味の私。長年、丹波地域のあちこちを歩いてきたが、管理がされているとはいえ、ここまで数多くの野生のササユリに出会ったのは初めて。気の早い10本程度が淡いピンク色の大輪を咲かせ、甘い香りを林の中に漂わせていたが、まだほとんどがつぼみ。「一斉に咲いたら、壮観な眺めだろうなぁ」と、妄想にふけってみた。 この記事が皆さんに読まれているころ、ちょうど花盛りを迎えていることだろう。ここまで書いておいて、肝心の場所は内緒。意地悪をしているようで、気が引けるが盗掘が怖いからである。Iさんも「この景色を多くの方に見てもらいたい。せやけどなぁ…」。歯がゆい気持ちが伝わってきた。 (太治庄三)