ついに秋本番。スポーツの秋、読書の秋―。何でも秋が一番取り組みやすいようだが、私はやっぱり「食欲の秋」。塩でゆでた黒枝豆をつまみにビールを一杯。くぅ、想像しただけで笑みが浮かぶ。 私をそんな幸せな気持ちにしてくれる秋の味覚がピンチだ。農家では高齢化と後継者不足が否めない。このままでは今はまだ手軽に食べられる黒枝豆が、いつか「幻の高級食材」などと呼ばれるようになるかもしれない。 そんな中、30歳代という若さで専業農家になった男性に出会った。勤めていた会社を脱サラし、農業一本で生きていくのだという。 勝手な話ながら、こういう人がいてくれたことが本当にうれしかった。私の至福の瞬間はさておき、基幹産業が農業である以上、それが衰退すれば、地方はひとたまりもない。味覚を求めて訪れる観光客もなくなってしまうからだ。 農業だけでなく、まち自体の後継者と言っても過言ではない彼に、最大級のエールを送りたいと思う。 かくいう私の実家も兼業農家。うーん、エールを送るだけでなく、私ももう少し農業を手伝わなくては。(森田靖久)