とある飲み屋。普段からよくしてもらっている商店主の方と並んで座り、グラスを傾ける。かかっている曲は、長渕剛の「明日へ向かって」だ。 しばらくして商店主がぽつり。「俺はな、俺が死んで、篠山が良くなるんやったらそれでもいいんや」。うーん、熱い人。でもその気持ち、今ならなんとなくわかる気がする。 16、17の両日、篠山最大の秋祭りである春日神社(黒岡)例祭が行われた。私も太鼓みこしの担ぎ手に挑戦し、その感動を身をもって体験した。 見ず知らずの人が声援を送ってくれるたび、このまちの一員として認めてもらっているようで、うれしくて跳びはねたい気持ちが込み上げる。 そして思った。「あぁ、このまちがもっといい所になればいい」。だから、長年地元で暮らす商店主の言葉も素直に受け入れることができた。 「肝心なことは俺がどうするかってことさ」―。剛の声がこだまする。そう、何ができるのかが肝心だ。 商店主は店を盛り上げることでまちに活気を呼び込もうとしている。じゃあ私は? 当然、答えは記事を書くことだ。熱い夜が更けていった。(森田靖久)