「豊かさ」「快適さ」の代償

2011.03.24
未―コラム記者ノート

 東日本大震災の巨大津波による福島第一原発の放射能漏れ事故―。今はとにかく原子炉を冷やすことが大切だと、原発建屋内へ放水することに躍起だ。目に見えない放射能の恐怖と闘いながら、任務にあたっている自衛隊や消防隊、原発職員らには、頭の下がる思いがする。
 丹波地域に近い原発は、福井県の高浜、大飯、美浜、敦賀の4個所で、計13基が稼働(国内全体では54基)し、関西の電気需要の約半分をまかなっている。直径、高さ共にわずか1センチ程度の円柱形のウラン1粒で、一般家庭の約7・5カ月分の電力量を発電する。そのあまりに大きな力には、それと同等の危険な代償「放射能」を抱えることにもなる。
 電気のある便利な生活。知らなければそれで済むが、一度知ってしまえば、絶対に手放したくない「豊かさ」や「快適さ」。各国でも年々高まる電気需要。全世界で435基の原発が稼働している(2008年現在)。今回のような事故が起ころうとも、今後も原発に頼る文明は続くだろう。近未来、この巨大な力を安全に利用できる日が来るのか、それとも時代は繰り返されるのか。(太治庄三)
 

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