田植えのシーズン到来―。18日、雲ひとつない真っ青な五月晴れの空の下、田植え作業に精を出した。毎年、田植えで気になっていることは、「いかにまっすぐ、苗を植えることができるか」ということ。同じことを気にされている方も多いはず。別にまっすぐに植わらなくとも収穫量には一切関係ないのだが、百姓の見栄と言おうか…。
ただまっすぐに田植え機を走らせればよいのだが、泥の中を一直線に走らせるのは意外に難しい。特に私のような注意力散漫タイプの人間には至難の業だ。土手に咲き誇った淡いピンクのモチツツジに目を奪われ、親しげに何度も頭上を旋回するツバメやトビに気を取られた瞬間、蛇行してしまう始末。自然好きの私にとって、田んぼという自然豊かな環境には誘惑が多過ぎる。
今年も無事に田植えができたことに感謝し、迎えた夕暮れ。これまでどこにその身を潜めていたのか、早苗の植わった水の国で、カエルの大合唱が何かを合図に突然始まった。その声は、ひと仕事終えて疲れた私の体を癒やしてくれているかのようで、耳に心地よかった。(太治庄三)