胸に熱いもの

2011.08.10
未―コラム記者ノート

 先日、篠山で立ち話をした教育関係の方が一冊の本を手にしていた。そこには東日本大震災の被災者が、あの惨状と化したまちでふれた「人のあたたかさ」を伝えるエピソードが並んでいた。
 長い道のりを歩いた先で、民家がトイレを開放してくれたこと。おにぎりを配ると、子どものいる家族が「私たちは分けて食べるので、足りない人にあげてください」と言われたこと。
 そして、彼は言った。
 「ひどいことが起きたけれど、こんなにもたくさん、人のすばらしさが伝える話がある。胸にこみ上げるこの熱さを子どもたちに教えたい」
 震災について考えたくない人、無関係だと思っている人―。いろんな受け取り方があるだろう。しかしこの震災は、災害時の対応のみならず、助け合う人間の姿からも、多くのことを学ばせてくれる。
 それを教育に反映させることは、きっと、学校では学べないことを子どもたちに伝えてくれるはずだ。
 私も被災地で、たくさんのあたたかさにふれている。みなさんの心にも熱いものが生まれるような記事を心がけたい。(森田靖久)
 

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