「仕事が忙しい」と、ほとんど遊んでやれていないわが子2人に「夏の思い出を作ってやりたい」と、気合を入れて地元の夏祭りに出掛けた。
会場に入ると、屋台がずらりと軒を連ね、大賑わい。子どもたちは早速、「これ買ってー」と、ヘリウムガスでぷかぷかと宙に浮かぶキャラクター風船を指さした。「子どもたちに夏の思い出を」と意気込んでいる私。「これくらいはお安いご用」とお金を支払おうとしたが、その値段にびっくり。1個1100円。子どもたちのうれしそうな顔を見ると「やっぱりやめとこ」とも言えず、苦笑いで2つ購入。小躍りして喜ぶ姿を見て「これでいいのだ」と自分に言い聞かせ、ほほ笑みながら妻の顔に目をやると、まったく笑っていなかった。
祭りのフィナーレは花火。赤や緑の大輪が夜空を彩るたびに、子どもたちは歓声を上げてはしゃいでいた。が、その歓声もわずか5分で終了。花火に飽きてしまった2人は、地面に向かって覚えたてのひらがなを書いて楽しんでいる様子。少しがっかりしたが、久々に家族みんなの笑顔を見たような気がして、うれしかった。(太治庄三)