分娩継続か撤退か

2011.08.31
未―コラム記者ノート

 県立柏原病院の産科が、異例の神戸大学医学部附属病院からの応援医(非常勤)による分娩継続となりひと月。同病院で産めた人がいる一方で、リスク高が見込まれ、他病院に紹介された人もいる。地元で産みたい妊婦や、近くで孫の顔が見たい妊婦の親には不本意だったかもしれないが、母親と赤ちゃんを危険に遭わさないための措置、危険の芽を摘む唯一の手立てだから、許容し、元気な赤ちゃんを産んでほしい。
 これまでのところ、不幸な事案は、幸いにも発生していない。しかし、異変なく進んで途中で急変するのがお産の怖さ。これまで何もなかったことと、次の分娩で何かが起こることに何の関係性もない。非常勤医が経験豊富な大学病院の教官クラスといえども、「不運」に見舞われないとは限らない。「運」「不運」に左右されず、妊婦と新生児を助けるためにあるのがシステムだが、柱の常勤医抜きに構築できるものではない。
 不安定な診療体制は、妊婦、応援医の双方に不安を伴う。県に医師の人事権はなく、神戸大がどう考えるかだ。撤退か「安定の上継続」か、結論を急いでほしい。(足立智和)
 

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