自転車でゆく

2011.09.29
未―コラム記者ノート

 ふと思いついて、自転車にまたがった。目指す先は丹波市柏原町。篠山市街地から、およそ16キロの道のりだ。
 ここ数年、自転車で1キロ以上走ったことがない。相棒のチェーンはさび、ペダルはギャッギャッと嫌な音を出す。
 だが、過ごしやすい気温の晴れた日。空を流れる雲を見ていて、なぜかにわかライダーになりたくなったのである。
 ゆったりと辺りを眺めていると、車では気がつかなかった景色が目に付いた。
 こんなところにアパートがあったのか、この道はどこに続くのだろう―。何より人が多い。畑に、田んぼに、家の庭に。声をかけると、笑顔で返してくれる。異様な音を出しながら走る自転車に、少し不審な目も向けられたが。
 かくして、ちょっとした冒険気分。幼い頃、野山を駆け回った自分が脳裏をよぎった。
 太陽が西に傾きかけたころ、鐘ヶ坂峠を下る。ヒュー、風を切って走ることのなんとも気持ちの良いこと。
 いつもと違う視点で地域を見ることは楽しい。新しい趣味を見つけたようで、自然と笑みが浮かんだ。
 自転車で遠乗り。なかなかおすすめです。(森田靖久)
 

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