日頃、滅多にお目にかかれないタカを容易に観察できる「渡り」と呼ばれる季節移動が本格的に始まった。自然好きの私にとって、心躍る季節の到来だ―。
その中の一種に、越冬のため主に北日本から渡ってくるチョウゲンボウというハト大の小さなハヤブサがいる。篠山市内だと毎年、岩崎や八上、川北など、いずれもだだっ広い田園地帯で見ることができる。私にとっては季節の風物詩であり、この鳥を見て初めて本格的な秋の到来を感じている。
カラスに追われて逃げ惑う情けない姿ばかりが目につくが、狩りの姿は猛禽らしく精悍だ。ネズミ類を中心に小鳥や昆虫などを捕食するが、これらの獲物にホバリングしながら狙いを定めると、一気に急降下して仕留めるという鮮やかなテクニックを披露してくれる。インターネットによると、紫外線を識別することができ、主食であるネズミ類の尿が反射する紫外線を捉え、捕獲率を上げているという興味深い生態が紹介してあった。このように生き残ることを前提に進化した野生動物の生態の無駄のなさには、いつもほれぼれしてしまう。(太治庄三)