今年ももうすぐ終わる。おそらく、「2011」という文字は歴史に残るだろう。
3月11日。東日本大震災の衝撃が日本列島を蹂躙(じゅうりん)した。死者・不明者合わせて約2万人という被害をもたらし、福島原発については廃炉まで数十年かかるとされる。復興ははるかに遠く、風評被害も含めた被災は未だ終わらない。
功罪は別として、ドイツ帝国の初代宰相、ビスマルクが残した名言がある。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。愚かな人は失敗するたびに、同じ失敗をしないようにするが、賢い人は歴史を見て、同じ失敗をしないようにするという意味だ。
この観点に立たなければ、歴史を重ねる意味はない。そして、落とされてしまった命も無駄になる。
心がほっこりとする温かい話題を提供するのもわが社の使命だが、地域のためになり、未来に生かすべきことだと信じる話題なら、どんなことでも提供すべきだと思う。
2011。この言葉を小紙の紙面と読者のみなさんの心、そして歴史に刻むため、来年も被災地に赴くつもりだ。(森田靖久)