「子ども1人を育てるには、村にいる全員の力が必要だ」。アフリカに伝わる言葉を引用し、地域の力が教育に欠かせないと力説した山下晃一・神戸大学准教授。丹波市の春日文化ホールで開かれ、山下准教授がパネリストとして参加した教育環境フォーラムは、目からうろこが落ちる話ばかりだった。
青垣や山南地域で開かれており、小、中学校の適正配置について検討する両地域の「教育を考える会」や、同会が校区ごとに行っている説明会の議論では抜け落ちてきたことが話されたからだ。
考える会などで討議されてきた「小規模校ネットワーク」「小中一貫教育」などは学校を運営する手段であり、いわばハードウェア。そのハードを動かすためのソフトは「地域住民」「教職員」「教育システム・目標」だろう。
「施設一体型の一貫教育が有効だ」と、ハードだけを論じた提言案を聞かされても、学校と地域の将来がどうなるかわからない。説明会で、住民から「学校運営がイメージできない」との指摘が出ていたが、フォーラムを聞いた後だと、その理由がはっきりとわかった。(河本達也)