丹波市立新井小学校で行われた「2分の1成人式」を取材した。
児童たちが、この日のために保護者への感謝状を用意し、保護者に渡す際に感謝のメッセージを読み上げた。聞くと、児童たちはメッセージを考えるために、保護者にインタビューしたという。式が終わったあと、児童の1人にインタビューのことを聞いた。
その児童の母親は、出産が近づくにつれ「はやくお母さんになりたいなあ」と大きなお腹をさすっていたという。そんなエピソードの数々を母親から聞き、自分は望まれて生まれてきたのだと改めて実感したと、読み上げた時の涙の跡が残る顔で話してくれた。
感謝の言葉を伝える。それがありきたりの文章にならず、血を通わせたのは、このインタビューがあったからだろう。メッセージを読む中で涙ぐんだ児童には必ずインタビューで聞き取った言葉があった。
2分の1成人式は児童の10歳の節目を祝う式としてよりも、自分が祝福されて生まれてきたことを知るインタビューに意味があったのかもしれない。インタビューは、親子の絆をより強くしたことだろう。(河本達也)