そっと見守る

2012.03.10
未―コラム記者ノート

 1年前の3月11日は金曜だった。編集日で、社の編集室のテレビで、津波がまちを飲み込む映像を見ていた。その半年前にマツタケを買った岩手県宮古市の物産館が黒い波に襲われるのに「わわわ」と、言うしかなかった。初めて知った「大」津波警報。テレビを見ているこの瞬間に、どれほどの人が亡くなり続けているんだろうと、ぼう然となった。
 年明けから被災地に行っておらず、NHKがインターネット上で「東北ふるさとニュース」として毎日公開している、盛岡、仙台、福島放送局の番組で、「被災地の今」をウオッチしている。今も行方不明者の捜索を続けている人がいること、原発事故の多岐にわたる影響、船が戻った港、にぎわいを取り戻しつつある仮設商店街―何か行動を起こす訳でもないのだが、見ておこうと。
 というのも、昨年3月に被災地に支援物資を届けに行った際、「日本人はそっと見守ることができない」と言われたことが心に残っていて、確かにそうかもしれないと思い、つとめて「見守ろう」としている。3・11に現地に行こうかと考えたが、そっと見守ることにした。震災2年目も見守り続けたい。(足立智和)
 

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