3月11日、東日本大震災の発生から1年。被災地だけでなく、全国で追悼行事が行われる中、12カ月で11度、足を運んだ宮城県で式典に参加し、鎮魂と復興を祈った。
被災地は、ただ喪に服する日。前日に取材した人の多くは言った。「明日は家にいる。どこにも行きたくない」。報道はあの日の傷をほじくり返し、心を空っぽにした。
非被災地では、東北へ元気を送ろうとさまざまな行事が行われ、どちらかと言えば、活気のある「イベント」。双方の違いは、当然かもしれない。
でも一つ、気になったことがある。
非被災地の「3・11」には、防災が組み込まれた行事が少ないこと。東日本大震災が1000年に一度なら、次は1000年後かもしれない。今、大地震に遭う可能性が高いのは私たちなのに。
被災地では、防災に関する研究が進んでいる。非被災地は、祈るだけでなく、「3・11」だからこそ、東日本から防災を学ぶべきだったのではないだろうか。
災害時に必要なこと。それは、まず自分の命を守ること。それができて、初めて人を救えるのだから。(森田靖久)