風車のある町

2012.05.10
未―コラム記者ノート

 ゴールデンウィークに出雲へ足を延ばした。目当ては出雲大社の先にある小さな漁師町。海辺の岸壁に張り付くように建つ家々の上には、風を受けて回る風力発電機が並んでいた。訪れた出雲市志度町北浜地区は、計26基の風力発電機が並ぶ日本一の「新出雲風力発電所」だ。
 訪れた日は快晴。白い風車と漁師町の町並みは相反するかのようで、遠くから見ればなかなかの絶景である。北浜に限らず、島根県は海風を利用した風力発電が多く、風車のある景色が珍しくない。
 ただ、順調かと言うとそうでもないらしい。北浜では台風による風車のローターやプロペラの破損などのアクシデントで稼働を中止したこともある。訪れた日もいい風が吹いていたが、風車は2割ほど回っていなかった。しかし「風力発電日本一のまち北浜」と書かれた看板が、風車のある景色を町の誇りとしているのがよく分かった。
 賛否がある風力発電だが、損にさえならなければ、「風景に合う」というそれだけの理由でも導入してもいいものかもしれない、と思った1日だった。(河本達也)
 

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