6月10日に本紙で掲載する予定で、丹波市山南町の「姫ボタルまつり」特集の取材を進めている。ヒメボタルを大事に思う関係者の話を聞いていると、ふるさとの東広島市で、子どもの頃に見たホタルを思い出した。
小学校低学年ごろまで実家近くの小川や、近くにあった祖父母宅の用水路にはホタルが飛んでいた。その頃はたまに、両親や祖父母に連れられてホタル狩りをした。電灯のない道を、月あかりをたよりに「ほう、ほう、ほーたるこい」と口ずさみながら歩いた。ホタルは10匹も飛んでいなかったように思う。しかし、その淡い光をよく覚えている。
4年生を迎えたころには川底がコンクリートに舗装され、ホタルはとんと見なくなった。祖父母宅の周辺でも用水路の舗装が進み、中学生の頃にはホタルの姿が消えた。
暗闇の中で淡い光を見せてくれたホタル。その光が消えた用水路を今では、東広島・呉自動車道の街灯が、闇をかき消すように照らしている。
ヒメボタルはこれまで見たことがない。「姫ボタルまつり」に顔を出し、ホタルの光に10数年ぶりに再会しようと思う。(河本達也)