放射能被害を心配する福島の親子を招いて行う「保養キャンプ」。丹波地域でも8月に2度、開催されることになっている。
縁あって、福島県二本松市と伊達市で行われた現地説明会に参加し、相談の席につかせてもらった。私、正直、わざわざ1000キロ近く離れた丹波に来る人がいるのだろうかと疑問を感じていた。子どもたちは、移動だけで疲れてしまうのではないか、と。
ところが、全国どこのキャンプもあっという間に定員が埋まっていく。
思い切って福島の若いお母さんに聞いてみた。「遠いですけれど、それでもいいですか?」「遠いからいいんじゃないですか。原発からね」
そう、保養はただの旅行ではない。避難なのだ。当たり前の思いがわかっていなかったことが恥ずかしくなった。
会場では「疎開」という言葉も使われた。まるで戦時中だ。福島では、毎日、目に見えない物質の“空襲”がある。
家に帰れば、放射線を気にすることも少ない私には、彼らと同じ思いは共有できない。でも、ただただ自然豊かな丹波で安らいでほしい、と願うばかりだった。(森田靖久)