追手神社の千年モミ

2012.08.04
未―コラム記者ノート

 いったい、いつごろからこの地に立っているのだろう―。篠山市大山宮の追手神社の境内にすっくと立つ巨樹「千年モミ」を眺めながらぼんやりと考えた。普段は「神」の存在を意識することはないが、この千年モミの前に立つと、得体の知れないエネルギーを感じ、また、自然の偉大さと生命に対する畏怖の念で心が満たされる。しかしここ最近、この千年モミの樹勢が弱まりつつあると、懸念されている。
 国指定の天然記念物でもある千年モミ。先日、樹勢回復に向けた治療方法を検討しようと、県内の樹木医約10人が追手神社に集結し、千年モミを隅々まで診断した。樹高約34メートルもの樹冠部にはツリークライミングの技術でよじ登り、幹の内部を超音波でスキャン。根の健康状態を確認するため、根元の2カ所を約50センチ掘って調査した。その結果、根が大きく傷んでいることが判明。土壌改良を中心に治療していく必要があるとしている。
 この土地の自然や人々の暮らしを何百年にも渡って見守り続け、「植物文化財」ともいえる千年モミ。この先も威風堂堂とした姿で、そこにたたずんでいてほしいと強く願う。(太治庄三)
 

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